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「福岡から高速船で行く! 1泊2日・激動の釜山旅行 ~賽は投げられた~」(旅行記2006)

予想外の天候
2006年4月14日、この日の福岡の天候は曇り。ただ、前日まで雨が降るなどして波が非常に高い状態であった。私は4月10日からシンガポール観光をしていたが、福岡の天候が気になり、常にインターネットでチェックをしていた。しかし、天候は悪い方へと傾きはじめ、4月13日にはJR九州高速船株式会社から自宅へ、場合によっては運行しないかもしれないといった連絡が入っていた。

フェリーを予約するときは過去5年、就航率97%ということで、ほぼ大丈夫だと安心して予約したが、最悪の事態も想定はしていた。ただ、私がここでいう最悪の事態というのは、波が高くて出航できなくなるということではなく、フェリーに乗るのが間に合わないかもしれないということであった。実はシンガポールから帰国(福岡)するのが、同日の午前8:00。福岡からフェリーが出航するのは午前11:10。つまり、入国審査~荷物受け取り~福岡港への移動に費やせる時間は多くはない。しかも、福岡は初めて訪れる場所ということもあり、万が一、飛行機が遅れると間に合わない可能性が出てくる。もしそうなれば、福岡観光をするということも考えてはいた。ただ、個人旅行なのでホテル(釜山)の予約のキャンセルや、フェリーの払い戻しなどもしなければならなくなり、かなりの面倒だなという気持ちもあった。

予想外の事態へ
午前8:00、シンガポールからの飛行機は無事、定刻通りに到着。まずは第一関門突破といったところである。とりあえず、荷物の受け取りのところで携帯電話のスイッチを入れ、すぐにJR九州高速船株式会社へ連絡をした。すると、第一便は危険と判断されれば引き返すという条件付きで出航したといわれ、それ以降の便についてはまだ未定であるという回答であった。

とりあえず、あまり時間もないので福岡港へ向かうことにした。しかし、ここで予想外の事態が起こった。荷物検査のところでスーツケースの中をチェックされることになった。ちなみにその際のやり取りの内容は以下の通りである。

検査員:「今回は、どこへ行かれたのですか?」
私:「シンガポールとマレーシアを日帰り(シンガポールを基準)で・・・」

検査員:「お仕事ですか?」
私:「いえ、有休を使って旅行に行きました(笑いながら)」

検査員:「でも、北海道なのに何故、福岡に来たのですか?」
私:「実はこれから、船で釜山へ行く予定です」

検査員:「優雅でいいですね。ちなみにどういうのものを買ったのですか?」
私:「DVDやお菓子などです」

検査員:「コピー商品とか変なものはないですよね?」
私:「買っていないです(笑いながら)」

検査員:「では、中をチェックしてもいいですか」
私:「え?? いいですけど、あまり時間がないんですが;;;;」

荷物をチェックしながら・・・・。

検査員:「このスーツケースはどこで買ったのですか?」
私:「インターネットで購入しました」

スーツケースのチェックが終わる・・・。

検査員:「ありがとうございました。ちなみにリュックの中は・・・?」
私:「本当に時間がないんですが(少し怒り気味に)」
検査員:「申し訳ありません。ご協力ありがとうございました」

このように、荷物をチェックされたのは初めてだったので驚いたが、どうやら東南アジアから帰国して、しかもその日に釜山へ行くというのは怪しまれたらしい。特に東南アジアはコピー商品が出回っているのでチェックされやすいようだ。

福岡港へ
ようやく空港を出て地下鉄に乗り、福岡駅へ到着した。ちなみにスーツケースは1泊2日なので持っては行かず、必要なものだけをリュックにつめ、福岡空港のロッカーへ預けた。福岡駅から福岡港へはバスで15分程度。福岡を観光する間もなく、福岡港へ向かった。

到着後、時計を見てみると9時50分。なんとか1時間20分前に着くことができた。そのまま、すぐに案内カウンターへ向かい出航状況を聞くと、「低速運転で危険と判断されれば引き返す」という条件付きで出航すると案内された。ただ、引き返す可能性としてはあまりないだろうと言われ、これで全ての関門を突破した感じで正直、安堵の気持ちでいっぱいであった。

出航時間が近づき、カウンターで搭乗手続きをし、座席はどこがいいかと聞かれたので、せっかくなのでと2階の窓側の席を指定した。2階席の窓側が一番、揺れるとは知らずに・・・。

出航から到着まで
 福岡港で出国審査を終え、フェリーへと向かった。フェリーへ向かう通路からは、大型の「ニューかめりあ」が停まっているのが見え、「ビートル」にも期待を膨らませていた。しかし、「ビートル」を見た瞬間、思わず「小さい!」と言いそうになるほどの差があった。ただ、大きさはあまり関係ないと思い乗り込んだ。
 乗った瞬間、ちょっと揺れるなぁと思いながら2階席へと向かい、席に座った。ちょうど近くにテレビがあり、大リーグ中継が放送されている。その中継を見ながら出発を待っていると、私の隣に博多弁を話す年配のおじさんが座った。その年配のおじさんは博多弁で私に話かけてきた。
 内容は、「一人でハングルの世界へよく行くなぁ」など、ごく一般的なことであったが、博多弁を聞くのがほぼ初めてということもあり、日本語なのにうまく聞き取れない。しかも、ところどころ疑問文なのかさえ分からない時もあり、笑ってごまかしつつ出航を待った。
高速船ビートル号
高速船「ビートル」

船はゆっくりと港を離れ、釜山へ向かった。私は船酔いをしたことがないので、携帯電話がいつになったら圏外になるのか確認したり、釜山観光の本を読みながら、船旅を楽しもうと考えていた。しかし、その考えは間もなく消えることになる。スピードが徐々に速くなるにつれ、揺れ始める。最初は飛行機が気流の悪いところを通過するような感じで、これなら大丈夫と思っていたが、徐々に激しさを増していく。激しさが増すにつれ、さっきまで感じていた飛行機の揺れとは違い、どこかゆったりしながら、激しく揺れるような状況が続き、次第に気分が悪くなっていった。しかも、時々、隣の人が話をかけてきて、笑顔で話していたせいか、益々、気持ち悪くなった。

まだ、出発してから30分。到着まで2時間30分以上もこの状況に耐えなければならない。当然、途中で引き返すこともやめることもできない。そう、もう賽は投げられたのである。途中で何かにぶつかったような衝撃も数回あり、本当に苦しい。寝れば楽になるかもと思いきや、気持ち悪くてそれすら出来ない。しまいにはアナウンスで、「非常に波が高く危険です。これからは乗務員も席につきます。トイレはお控え下さい。気持ちの悪い方は前のエチケット袋をご利用下さい」と・・・。

もう、この状況では耐える以外に選択肢はない。頭を抱えながら、いつかは終わると思いつつ、とにかく時が過ぎるのを待った。楽しかったシンガポール旅行さえ、懐かしく思えた。少なくとも今まで旅行してきた中でこれほどまで、旅行が苦しいと思ったことはなかった。

本当に身も心もボロボロになるぐらい苦しかったが、なんとかそれでも耐え抜き、遂に釜山港へ到着した。しかし、やっとの思いで到着したものの、気持ち悪い状態が治らない。しかも入国審査では長い行列。時計も15時を回ろうとしていた。明日の朝に帰らなければならず、時間もあまりないのに気持ち悪いという最悪の状況。これから、どうしようかと考えている内に、徐々に気持ち悪さは消え、なんとか立ち直った。落ち着きを取り戻した後は、お腹も空いてきたので焼肉バイキングの店に入り、遅い昼食をとった。昼食を食べると時計はもう、16時を過ぎていた。もともとの計画では釜山の観光名所といわれている所と映画「チング 友へ」のロケ地、桜なども見る予定だったが、結局、釜山タワー、PIFF広場、チャガルチ市場、国際市場ぐらいしか見ることができなかった。しかも、また明日、あの船に乗らなければならないのかと思うと、憂鬱でならなかった。。

その後、18時にホテルに着き、まずは自分の持ってきたパソコンをインターネットに接続することにした。しかし、ここでトラブルが発生。接続が可能であることは事前に確認していたのだが、LANケーブルが見つからない。部屋にはパソコンが一台、設置されており、それを使うことは可能だが、OSも全て韓国語なのでかなり面倒。とりあえず、そのパソコンに接続されているLANケーブルを自分のノートPCへ接続すればいけそうだと思い、ケーブルを探したが、なんと木のボックスに覆われて、取れないようになっていた。ただ、壁側のLANケーブルの方は抜くことが可能であった。つまり、LANケーブルさえあれば、壁から直接、接続できるという状況であった。どうしても、自分のパソコンを使いたかったので、お土産を買うついでに、LANケーブルを販売している店も探すことにした。しかし、LANケーブルを販売している店を見つけることは出来ず、時間もあっという間に20:00を回り、西面地下街の店のシャッターが次々と下り始めた。もう自分のパソコンを接続するのはあきらめ、部屋に付随しているパソコンに日本語入力を追加し使用することにした。

また、部屋で韓国のテレビ番組を録画をすることが可能ということを事前に問い合わせていたので、わざわざ一本、400円ぐらいするビデオテープを韓国のコンビ二で購入した。さっそく録画しようとしたが、何故か録画できない。なんとか、配線を変えて録画はできるようになったが、そうこうしている間に時間はあっという間に過ぎていった。今、思えば、一泊二日という短い日程で、そんなことをする必要はなかったのではないかと思っている。しかも、その時、録画したビデオは一度も見ていない。

釜山港から福岡港へ
翌日4月15日。本当は朝早くに起きて、桜と映画のロケ地でも見れたらと思っていたが、目覚めてびっくり。まず、船酔いで疲れていたせいもあり、いつ寝たのかすら分からない。しかも、目覚ましが止まっている・・・・。「今、何時だろう・・・・・?」。この時ほど、時計を見るのが怖かったことはなかった。「もしかして、旅行で初めての寝坊か・・・、これから、どうしよう・・ まさか・・」と思いつつ、恐る恐る時計を見た。時間はなんとかギリギリの朝8:00。フェリーの出航時間は10:00。「本当は朝5:30に起きる予定だったのに・・・・」と心の中で思いつつ、慌ててテレビの配線を元に戻し、荷物をまとめ、チェックアウトを済まして地下鉄へ乗り込んだ。でも、まだ、ほんの少しだけ時間があるからと思い、無謀にも途中で下車し、映画「チング 友へ」のロケ地である国際ホテルへと向かった。

地図上では、さほど遠いように見えなかったのに中々見つからない。地下鉄から降りた距離から単純に計算して、もうこれ以上、探すのは間に合わなくなると思いつつも、滅多に来れないしという思いも交錯する。結局、もう限界だと思い、地下鉄へ戻ろうと思ったが、これは本当に間に合わないかもしれないと思い、同時にタクシーを捜すことにした。しかし、釜山ではタクシーに乗ったことがなかったので、どのように拾えばいいのだろうと不安になり、とりあえずホテルのようなところやタクシー乗り場を探しながら歩いた。すると、奇跡的にもタクシー乗り場に一台、タクシーが止まっていたので、すぐに乗り込み釜山港へ向かった。釜山港に到着し、一応、記念にタクシーの運転手に「ヨンスジュン ジュセヨ(領収書下さい)」と伝えたところ、金額の書かれていない領収書を2枚出してきた。「え??」と思ったが、時間もないのでタクシーを下車し、ターミナルへ入った。

 結局、釜山港へ着いたのは9時15分で出航の45分前。「あ~、なんとか間に合って良かった~」と思ったのもつかの間。外国の地でフェリーの搭乗手続きは初めてだったことに気づく。日本語が通じやすい国とはいえ、どこで手続きをすればよいのか分からない。しかも、色々な所に窓口があり、日本のように気軽に質問ができない。それらしきところに行っても、ブラインドが閉まっている。もしかして、もう搭乗手続きが終わったのかと思い、またまた、気持ちに余裕がなくなる。とはいえ、何もせずにいては始まらないので、ブラインドが閉まっていても、とりあえず日本語で「すいません~」というと、2階が手続きする場所だと言われ、なんとか手続きを済ませることができた。
 さすがに時間が遅かったせいもあり、座席の選択肢は少ない。ただ、揺れにくいと言われる一階の中央の席が空いているとの事だったので、そこを指定した。
釜山港国際旅客(フェリー)ターミナル
釜山港フェリーターミナル

船に乗り込むと、運よく私の席の後ろが柱になっていたので、乗った瞬間に椅子を後ろに倒して寝ることにした。船は出港し、最初は問題なく運行していたのだが、1時間ぐらいすると何故か海の中央で停まってしまった。しかも、この日も波が高く、荒い状況。特に停車した状態だと波をもろに受けるので、船はゆったりと大きく揺られた。ここで、また気持ち悪くなった。「またか・・・」と思ったが、この時は乗っている人のほとんどが気持ち悪くなったようで、乗務員に付き添われてどこかへ行った人もいた。ただ基本的に寝るようにしていたということもあり、行く時ほど辛くはなく、福岡に戻る事ができた。

私はもう二度と小さい高速船は乗らないとこの時、決心した。福岡に戻った後は天神駅近くにある長浜ラーメンを食べに向かった。考えてみると昨日の夜は夕方の時間に昼食をとり、いつの間にか寝ていたこともあり食事をとっておらず、この日の朝も食事をする時間がなかったので、実に約1日ぶりの食事であった。食事後は、少し福岡を観光して東京を経由で北海道へと帰った。

今回の釜山旅行は決して楽しい旅行だったとはいえないが、色々なことが起きるのも旅行の醍醐味。船酔いの辛さも知り、今までとは違った旅行が出来たと思う。

※この時、二度と小さい高速船には乗らないと決心したが、その2ヶ月後、シンガポールからインドネシア(ビンタン島)へ高速船に乗船。この時は一時間程度で、さらに波も穏やか。まったく酔うこともなく快適であった。

   (文章作成:2006年9月11日 ※2008年12月5日 内容を読みやすいように一部、修正)


  ■フォトギャラリー

博多港

博多国際ターミナルの外観
博多港国際ターミナルの外観です(2006年4月撮影)

博多国際ターミナル内にあるビートル号のカウンター
博多国際ターミナル内にあるビートル号のカウンターです(2006年4月撮影)

出発案内の掲示板
出発の案内掲示板です(2006年4月撮影)

待合室と出国ゲート(写真奥)
待合室と出国ゲート(写真奥)です[2006年4月撮影]

フェリーへ向かう通路
フェリーへ向かう通路です。写真左にはかめりあ号が見えます(2006年4月撮影)

「ビートル」と「コピー」

ビートル
ビートルです(2006年4月撮影)

ビートルの中と大リーグ中継
ビートルの中ですが大リーグ中継がやっていました(2006年4月撮影)


「コビー」の中の様子です(2006年4月撮影)


こちらも「コビー」です。皆が降りた後に撮影しました(2006年4月撮影)



[記事作成日]2008年12月5日

※2006年4月に訪れた時の体験を基に作成しています。











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