JPN-WORLD.COM>>記事一覧>>旬の経済用語講座 第3回「電力自由化」

今回の用語「電力自由化」

 皆さん、こんにちは。「にゃん次郎先生&スモークと学ぶ!旬の経済用語講座」のアシスタントを務めるKOです。第3回目の今回は、今年4月からスタートする電力自由化についてですが、今回から難易度というものも表記することにしました。難易度は5段階レベルで★の数が多いほど難しいです。前回の用語であるネコブームについても第2回「ネコブーム」内に追記済みです。なお、レベルの基準の詳細は第1回「オリエンテーション」に追記をしているので、そちらを参照下さい。

 さて、さっそく今回の難易度は「★★★★」と高めですが、にゃん次郎先生、お願いします!





にゃん次郎先生
スモーク君、1ヶ月ぶりだけど。元気だったかい?
スモーク
先生、久しぶりニャン!元気だったニャン♪




にゃん次郎先生
さて、さっそく今回の用語だけど、今年4月から大きく変わる事があるんだ。もうすぐ4月ということもあり、ここ最近よくニュースでも取り上げられる事が多いけど、何かわかるかな?
スモーク
ディズニーランドの入場料が値上げすることかニャン?




にゃん次郎先生
ハハハ。先生はディズニーランドに行ったことがないので、よく分からないけど、確かに値上げするみたいだね。

ただ、残念ながら、今回のテーマはディズニーランドではなく、電力自由化についてなんだ。この用語を一度は耳にしたことはあるよね?


スモーク
なんとなく聞いたことはあるけど、難しいそうだったニャン。


にゃん次郎先生
そうだね。電力自由化は奥が深いテーマで、この用語を理解するには「発電から家庭に販売されるまでの流れ」と「電力自由化前の現在の制度」を見ていかないと難しいから、そこから見ていくことにしよう。

まず、発電から家庭に販売されるまでの流れから簡単に説明すると、電力は主に「電力を作る(発電)」→「送られてきた電力を変電して配る(送配電)」→「電気を家庭に販売する(小売)」の三つの過程を経ているんだ。

そして、電力自由化前の現在の制度では、この過程の全てを各地域ごとに分けられた「北海道電力」「東北電力」「東京電力」「北陸電力」「中部電力」「関西電力」「中国電力」「四国電力」「九州電力」「沖縄電力」の10社が独占して行っているんだよ。

言葉だけだと分かりづらいので、下記の図を見て、理解を深めてほしい。



スモーク
難しいニャン・・・。




にゃん次郎先生
スモーク君、難しいかもしれないけど、とりあえず、ぼんやりとでも、三つの過程があることは分かったかな?

スモーク
そこはわかったニャン。




にゃん次郎先生
では、それを踏まえた上で説明を進めていくけど、今回、自由化になるというのはその過程の三つ目である電気を家庭に販売する(小売)の自由化のことで、正確には「電力小売りの全面自由化」と言うんだよ。

ちなみに全面自由化という表現についてだけど、実は既にオフィスビルや大規模な工場などでは2000年3月に自由化され、中小規模の工場などを対象にした一部の施設に対しても、2004年4月と2005年5月に段階的に自由化がされていたんだよ。そして、今回それが家庭にまで広がることから全面自由化と表現されているんだよ。

スモーク
な、なんとなく、分かったけど、過程の一つ目と二つ目の自由化はどうなっているニャン?




にゃん次郎先生
スモーク君、よくそこに気づいたね。ただ、気づいたのはよいけど、特に二つ目の送配電については、電力自由化の中でも奥が深いところなんだよ。

まず、過程の一つ目である「電力を作る(発電)」については、既に自由化がされていて、多くの事業者が参入しているんだよ。しかも、太陽光、水力、風力、バイオマスなど、原発や火力に頼らない再生可能エネルギーを扱う発電業者が登場しているんだ。

そして、二つ目の「送られてきた電力を変電して配る(送配電)」については、家庭に電力を届けるという大事な部分ということもあり、これまで通り、従来の地域の電力会社の送配電部門が担うことになっているだよ。理由は電柱・電線などの設備を現状のまま利用するからで、ここを自由化するというのは、かなりのハードルがあるからね。

ただ、送配電をいつまでも従来の地域の電力会社が担っていると、公平な競争にならないので、従来の地域の電力会社の送配電部門を2020年4月までに分社化(手放す)して中立化することを、2015年6月に成立した改正電事法で義務づけられたんだ。

ちなみに、従来の電力会社から分社化しただけでは、従来の電力会社との関係性が強いため、両会社での取締役の兼務などを禁止することも盛り込まれているんだよ。

スモーク
聞いた私が間違ったニャン・・・。難しいニャン。




にゃん次郎先生
最初にも言ったとおり、電力自由化は奥が深いテーマだからね。

スモーク
ところで、今回、電力自由化することによって何かメリットはあるのかニャン?


にゃん次郎先生
今回、電力自由化する大きなメリットは、7兆円以上いわれる電力市場が開放され、経済が活性化するということと、個人消費者にとっても自由競争が始まることにより、電気代が安くなり、自由に電力会社を比較しながら、選択できるようになる点なんだ。

もちろん、そのまま従来の地域の電力会社を使うこともできるけど、大手のインターネットプロバイダや電話会社、ガス会社なども電力小売業に参入し、提供する会社のサービスと電力をセットで契約すれば従来よりも電気代が安くなるなど、もう既に競争がスタートしているんだ。

つまり、今後はインターネットのプロバイダや携帯電話会社を選択するように、電力会社も自由に選択できる時代になるということなんだよ。



スモーク
難しいテーマだったけど、なんとなく分かったニャン。


にゃん次郎先生
よし!では、今回はここまでにしよう。最後に言葉だけだと分かりにくい部分も多かったと思うので、電力自由化後の図も用意しておいたよ。理解を深めておくようにね。では、また、次回元気に会おう。



スモーク
分かったニャン。理解が深まるように復習しておくニャン♪。


 にゃん次郎先生の2回目の授業は楽しめましたでしょうか?今回は奥が深いテーマだったこともあり、にゃん次郎先生も半日以上、色々と調べるのに時間を費やしたそうです(笑)。なお、次回の講座についてですが、にゃん次郎先生の都合により、少し時間が空くかもしれませんが、前回も記した通り、2016年下半期(7月以降)からは定期的に開催していく方針でいるので、それまで今しばらくお待ち下さい^-^


[記事作成日]2016年3月22日





JPN-WORLD.COM   FAQ   お問い合わせ
 Copyright(c) jpn-world.com all rights reserved. 2016